講師 | 茂木健一郎先生 脳科学者(ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアリサーチー) |
講演内容 (テーマ) |
「「脳の不思議に迫る! ~偶然の幸運に出会うことはできるのか?」 |
■講演内容 | ||
脳の謎はそのほとんどが解明されていないと言ってよい。故にまだまだ脳の能力は高められる可能性を秘めている。 例えば、他人と一緒に同じ赤いリンゴを見たとき、はたして自身の見て感じた赤色は、一緒に見ている他人が見て感じている赤色と同じなのであろうか?リンゴの表面のツヤの感覚は誰も等しく同じツヤなのであろうか? こうした感覚の持つモノの質感をクオリアという。我々が当たり前のように思っているようなこの脳のメカニズムでさえ解明されていないし、脳科学界の最難関課題でもある。 日常に目を向けてみよう。優れたアイディアが生み出されるメカニズム。いわゆる、ひらめきというものだが、ひらめきが生まれるためには、膨大に蓄積された情報に加えて、偶然の幸運ともいうべき気づきが必要だ。では、偶然の幸運にどのように出会えばいいのか?偶然に出会いを努力で引き寄せることなどできるのか? 人は成功を得るためにあえてリスクを取ることがあるが、なぜ危険を冒してまでリスクを取れるだろうか?脳がリスクに挑戦するためには、実は安全基地の存在が大きな鍵を握るのだ。 人の成長は自身の努力でのみ達成できるのか?実は、人は他人を真似て、他人を鏡のようして自信を映して、自分を認識し磨き上げているのだ。だから、人と会い会話することは脳にとってもっとも大切な行為である。加えて、交流する人々は、好き嫌いによらず、多様性を持たせた方がよい。 このように少しは解明されはじめてきた最新の脳のメカニズをご紹介しながら、そのメカニズを応用して仕事や日常を豊かにするノウハウなどについて解説する。 |
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■略歴 |
ケンブリッジ大学生理学研究所研究員 ソニーコンピュータサイエンス研究所リサーチャー(現在)
著書 脳とクオリア―なぜ脳に心が生まれるのか (日本経済新聞出版社) 他、多数 |
講師 | 大阪大学 大学院歯学研究科 口腔分子免疫制御学講座 歯周病分子病態学・歯周病診断制御学 教授 村 上 伸 也 先生 |
講演内容 (テーマ) |
「歯周組織再生療法の生物学的基盤と将来展望」 |
■講演内容 | |
京都大学山中伸弥教授がノーベル賞を受賞されたことが新たなきっかけとなり、「再生医療」に対する期待が高まっています。そして、再生医療関連三法(再生医療推進法、再生医療等安全性確保法、改正薬事法)も制定され、再生医療の研究開発から実用化までの施策の総合的な推進を図る仕組みが整えられようしています。 歯科、とりわけ歯周治療の分野においては、歯根膜に「歯周組織幹細胞」が成人になっても内在しているとの考えを基に、骨移植、GTR法、さらにはエナメルマトリクスタンパクを用いた歯周組織再生療法等が次々と開発され、我々の臨床の場で一定の成果をあげています。 これらに加え、ヒト型リコンビナントサイトカインを歯周外科時に局所応用することで歯周組織の再生を図ろうとする試みが、米国と日本を中心になされています。既に米国にて販売されているGEM-21(PDGFとよばれるサイトカインを応用した歯周組織再生誘導用医療機器)はその好例です。我が国では、塩基性線維芽細胞増殖因子(basic fibroblast growth factor: bFGF; FGF-2)と呼ばれるサイトカインを歯周外科時に歯槽骨欠損部に局所投与することにより歯周病により失われた歯周組織の再生を誘導・促進する検討がなされています。現在、そのプロジェクトは臨床治験の最終段階にあります。 さらに、幹細胞(主には体性幹細胞)を歯周組織欠損部へ移植することにより歯周組織再生を活性化しようとする試みが、我が国の研究者を中心にして数多くなされています。そしてその内のいくつかの事例は、厚生労働大臣の承認を受けて、国内で臨床研究が行われている状況にあります。 今回の講演では、歯周組織再生療法を可能ならしめている生物学的基盤につき、概説させていただくと共に、先に述べました歯周組織再生療法の近未来について、その展望と課題を先生方と共に俯瞰させていただきたいと思います。 上記の項目にふれながらスポーツと歯の関連について現役の経験をふまえ、お話しさせて頂きます。 |
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■略歴 | |
現職: 昭和34年 愛媛県に生まれる 日本歯周病学会:専門医・指導医 主な学会活動: 賞罰: 関連著書 1)村上伸也 2)村上伸也 |
講師 | 東京歯科大学教授臨床検査病理学講座 教授 井 上 孝 先生 |
講演内容 (テーマ) |
「歯科医療におけるセーフティネット |
■講演内容 | ||||||||||||||||
超高齢化社会の現在、歯周病と基礎疾患の関連は明らかになり、健康長寿が歯科に期待されるようになりました。医療連携なくしてその実現はあり得ないという状況が生まれています。 翻って、歯科医療を見てみますと、欠損をいかにして修復し、審美性を回復するかに主眼が置かれ、診断に関わる検査や治療後の評価に用いる検査がなく、エビデンスを構築するための基盤を持ってこなかったと言えます。つまり病態論を無視し、臨床検査を谷底に置いてきたことは否めません。結論として、治療時の患者さんの病態を知ることは勿論、治療終了時に健康であっても長い時間の中で病気となる場合を考慮するということで、今までの歯科治療から脱却して、臨床検査を活用した歯科医療にしなくてはならないと思っています。昨今騒がれている医療事故の多くも病態論を知らないため、臨床検査をしないためといえるかも知れません。この度は、病態と臨床検査についてお話させて頂、それが先生方の日常臨床のお役に立てばと思っています。何卒宜しく御願い申し上げます。 |
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■略歴 | ||||||||||||||||
日本病理学会評議員 FDI science committee member 日本代表 経済産業省委員 |